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連載コラム「人間へのはるかな旅」第三部 |
2004/07/30
世の中にはいろいろな出来事があります。 私もこのコラムを執筆してから、こんなメ一ルが来るとは夢にも 思っていませんでした。 これはあるバ一ンタオ通信読者(想定するに妙齢なご夫人と 思われます)からの質問という形で届きました。 その質問を要約すると下記の通りです。 【バンナのイケメン先生様 いつも先生の「人間へのはるかな旅」楽しく拝読させていただ いております。 さて先生はその第38回、「あきらめきれないこの願い、泣いて 船場のこいさんが」の中で、このように書かれています。 《もてる先生に嫉妬するバ一ンタオ氏の気持ちをなだめながら、 人生とは、男の女の関係とはの、バナ哲学を語るハメになって しまった》 そこで質問なのですが、「男と女の関係とは」で先生は実際に どんな話をバ一ンタオ氏になさったのですか? 後学のために是非教えていただきたく存じます。 よろしくお願い申し上げます。 追伸:先生は自分でもてるとおっしゃっているのですから、真実 女性に人気があるのでしょうね。 いつの日か、私もイケメン先生にお目にかかれる機会があるの でしょうか】 さて困ったぞ、私はこんな質問をまったく想定していなかった。 いや実際にバ一ンタオ氏には「男と女の関係とは」の話はした のです、こんな話なんです。 それはずっと昔の映画《逢びき》(デビット・リ一ン監督、シリア・ ジョンソン、トレバ一・ハワ一ド主演、1945年・英国)の話。 《逢びき》は不倫の恋の物語です。 男にも女にも幸福な家庭がある。 二人とも自分の世界に満足していた、そんな二人が恋に陥る。 女の名前はロ一ラ、夫はサラリ一マン、二人の子供がいる。 男の名前はアレックス、チャレ一という町の開業医、家庭もち。 ごく平凡な、どこにでもいるような男と女。 二人は、女の目に入ったススを男が取ってくれたことで知り合う。 悪いことに二人は、毎週木曜日にミルフォ一ドの町に来ることに なっている。二人は町でひょっこりと会ってしまう。 それが二度、三度、二人は映画を観て、ちょっと腕を組んで、駅 の待合室で話し込む。 この時、ロ一ラは初めて恋心らしいものを感じるのだが、それは 男の何に対してか。 ロ一ラの心を捕えたのは、男の夢と情熱に満ちた眼の輝きだった。 そこにロ一ラは青春の名残りを見、少年の純粋さを見た。 ロ一ラは二人の前途に危険なものを感じて、引き返したい衝動に かられるが、二人の恋はそんな段階をすでにはるかに超えていた。 二人の逢びきは次第に大胆になっていく。 すると、ロ一ラは夫に嘘をつかなければならない。 自分の女友だちにも目撃されたりする。 愛がある、愛があるのに逢えないのはつらい、だから男は遠い ヨハネスブルグへ移転することを決心する。 男「許してくれ」 女「何を」 男「何もかも、君と出会ったことも、愛してしまったことも、つらい 思いをさせたことも...」 女「私も許して」 中年の恋らしい、実にいたわりに満ちた別れの言葉。 かいま見た青春の輝き。 しかし、この映画中で最大のいたわりを見せたのはロ一ラの夫 だった。 彼は何も知らない顔をして、妻の恋をしっかりと見抜いていた。 男と別れて放心状態になって戻って来たロ一ラに言う。 夫「遠くまで旅をしていたんだね。でも、よく戻って来てくれた」 (そして優しくロ一ラを抱いた) 私が話し終った時、バ一ンタオ氏は涙を流していた。
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(このコラムの前シリーズのバックナンバーは現在整理中です。順次公開していきます。)