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連載コラム「人間へのはるかな旅」第三部 |
2004/06/18
成都空港
令芳を乗せた便が成都空港へ着いた。
「令芳無事だったか、木村は何かしなかったか?」
「木村さんて何て優しい人なんでしょう。私この10日間ばかりずっと
江南を観光させてもらった。上海、南京、蘇州、無錫、杭州、夢のよ
うだったわ。帰りに木村さんから結婚のお祝いまでもらったの」
「お祝い、それは何だ?」
「御木本の真珠の首飾りよ、日本の真珠は世界一なのよ」
「真珠を今日もらったのか」
「そうです、今日いただきました。あっそれから木村さんから貴方に
書類を預かっているわ」
「その書類は家で見よう、さあ帰ろう」
成都・林家書斎
書類と思われたのは林(リン)に宛てた手紙であった。
【林さん、奥さんは約束通り無事にお返しする、大切にしろよ。
それから支払いについてだが、今回、東京からの連絡では荷物の中
身は松茸ではなかった。
証拠の写真を添付する、松茸は一番上の一箱だけであとは新聞紙と
布切れが入っていた。
どっかで行き違いがあったんじゃないか。支払いは出来ない。
松茸、去年が3000万円、今年が3500万円で金額が違うが、奥さん
への接待料としてガマンしてくれ。
セコイことするなって、とても中国人にはかなわないよ。
それじゃ、元気でな、君なら中国でも一流の商人になれる、がんばれ】
「貴方、木村さんからの書類は何だったの?」
「ああ、何でもない、今回の取引のお礼だった」
「そう、木村さんて本当にいい人ね、もう会えないのは寂しいわ」
「エエッ会えないって、木村はどうしたんだ」
「日本へ帰任したのよ、また違う国へ行くそうよ」
「そうだったのか、木村は日本へ帰ったのか」
「貴方も、あんないい人とビジネスができて良かったわね」
「ああ、木村は本当にガッツのあるいいヤツだったよ」
エピロ一グ、取手
「先輩、ご無沙汰しています」
「おっ木村、しばらくだな、どうだったんだ」
「あの作戦は大成功でした、無事に去年の分を取り返しましたよ」
「そうか、それはよかった」
「それで先輩、私会社辞めました」
「そうか」
「あんなことして、会社に迷惑がかかってもいけませんしね」
「オマエがそんなこと考えるタマかよ、会社がつまらなくなったんだろ」
「あんな刺激的なビジネスをすると、日常の仕事に乗らなくて」
「無理もないよ、オマエには会社勤めは合わない」
「とにかく先輩のお知恵のおかげで、スッキリしました」
「これからどうする?」
「広いアジアの山河をさすらいますわ」
「オマエにはその方がよく似合あうよ」
「それじゃ先輩、またどこかでお会いしましょう」
「うん、元気でな、サラバだ」
あれから15年の歳月が流れた。
木村は今もアジアのどこかで面白い生き方をしていることだろう。
TO ERR IS HUMAN,TO FORGIVE DIVINE.
(過ちをするから人間なのだ、神のみ、これを許し給う)
(完 了)
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