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連載コラム「人間へのはるかな旅」第三部 |
2004/06/11
1年後、四川省成都 月日は経って翌年の松茸が採れる季節となり、再び木村は四川省・ 成都の林(リン)の事務所を訪れました。 「林さん、今年も松茸を買いたい、一緒に山に入ってくれないか?」 「木村さん、いいよ、今年はどのくらい買うつもりですか」 「本社からの要求は3500万円分です、すべて林さんから買います」 「ありがとう、ところで木村さん、私結婚した、今晩私の家に来て下さい。 私の奥さんの手料理ご馳走します」 その晩、木村は手土産を持って林の家を訪問しました。 まだみすぼらしい家の多かったその頃、林の家は大豪邸でした。 木村は胸の中で呟きます。 「チクショウ、去年オレを騙した金で造りやがったな、今に見てろよ、 この家に住めないようにしてやる!」 林夫妻は大歓迎で木村を迎えます。 「木村さん、奥さんの令芳です、美しいよ」 「令芳です、いつも主人がお世話になっております」 林が美しいと自慢するだけあって清楚で可憐な新妻で、木村もその時 は胸の中に涼風が吹くのを感じたといいます。 3日後、松茸購入のために二人は四川省の山に入ります。 「林さん、奥さんと1ヵ月会えないぞ、寂しいだろう?」 「そりゃ寂しいよ、木村さん」 「帰ったら奥さんが実家に帰って、家にいなかったらどうする」 「ビックリして、すぐに迎えに行くよ」 「ビジネスでは無敵の林さんも、奥さんの魅力には敵わないか」 「私、奥さんのためならビジネス捨ててもいいよ」 二人は1ヶ月間山中を歩き、松茸を選びました。 そして木村が山を降りて成都に帰る日、林に言いました。 「林さんは松茸の荷造りと出荷準備で1週間後に成都ですね、私は成都 から上海に帰ります」 「木村さん、ちゃんとやっておくよ」 「実は林さん、松茸探しがうまくいったら、奥さんに結婚記念をプレゼント しようと思って、日本の真珠の首飾りを持ってきたんだ。これいいだろ。 帰りに林さんの家に寄って届けておくけど、奥さんに手紙でも書かないか、 一緒に届けるよ」 「ありがとう、木村さん、すぐに書くよ」 「あっその時に、私からのプレゼントを遠慮なく受け取るように書いといて 下さいよ。奥さんは控えめの人だから遠慮するかもしれない」 「分った、最後に書いておくよ」 「その時、真珠の首飾りとは書かないで、開けた時のお楽しみにするからね、 奥さんを驚かせたいんだ」 木村は林の手紙を持って、成都へと帰って行きました。 成都、林家の居間。 「奥様、今年もいい松茸が買えました、ありがとうございます。これご主人か らの手紙です。ご主人は1週間後に戻ります」 令芳夫人は手紙を熱心に読んでいます。 「実は奥様、ご主人の手紙にも書いてあると思いますが、商売もうまくいき ました、そのお礼と結婚祝いも兼ねたプレゼントがあるのですが」 「まあ、木村さん、私に何をいただけるのですか?」 「中身は書いてありませんか」 「ええ、木村さんからのプレゼントを遠慮なくいただくように、としか書いてあり ません」 「プレゼントはご主人が成都に戻るまでの1週間、江南旅行です。上海・蘇州 ・南京・無錫・杭州などを観光して下さい。もちろん飛行機代、ホテル代は私 の方で持ちます。観光には運転手付きの車を用意いたします」 「エッ江南旅行ですか、そんな贅沢なこと私にはお受けできません」 「そう言うと思って、ご主人に一筆書いてもらったのです。遠慮なく受けろと書 いてあるでしょう」 「いいのかしら、そんな素晴らしい贈り物をいただいて」 「旅行はお嫌いですか?」 「いえ、大好きです、江南地方は一度行きたかったのです」 「それでは私が上海に戻る便でご一緒しましょう。ホテルは上海で一番いい ホテルを予約してあります。観光には会社の女子社員を付けますよ」 (次回に続く)
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(このコラムの前シリーズのバックナンバーは現在整理中です。順次公開していきます。)