『元気なNPOの育て方 生活人新書』
●著者:戸田智弘
●価格: ¥714 (税込)
●ISBN: 4140881585
●発行:日本放送出版協会
さて、私の年上の友人でルポライターの戸田智弘さんが新しい本をだしました。
タイトルは『元気なNPOの育て方』(日本放送出版協会刊)
NPOを立ち上げたものの、すぐに壁にぶつかってしまうことが少なくないようで
す。
戸田さんは、地域を元気にするためには、まずNPO自身が元気でなければならな
いと云います。住民をいかに巻き込んでいくか。企業や行政といかに協働してい
くか。どのようなビジネスモデルが有効か・・・
全国各地で奮闘している13の先進事例から学びます。
以下、すこし本書の「はじめに」から抜粋します。
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一九九八年(平成一〇年)一二月一日、特定非営利活動促進法(NPO法)が
施行された。それ以降、NPO法人の数は増え続け、二〇〇五年五月末時点で二
万一九九六に達している。
NPOとはそもそも何なのか? NPOとは「Non Profit Organization」の
略語で、直訳すれば「非営利組織」となる。その特徴は、@フォーマルな組織で
あること、A政府から独立した民間組織であること、B利益を関係者で分配しな
いこと、C他の組織に支配されず、独立した組織運営がなされていること、D市
民の自発性によって活動が支えられていること、E公共(不特定多数)の利益に
寄与することーーのようにまとめられる(『米国の「非営利セクター」入門』)。
では、今なぜNPOなのか? NPOが注目されている背景には、利益追求至
上主義の「企業の論理」や平均的市民を満足させるようなサービスを優先する
「行政の論理」だけでは多様化、高度化した市民のニーズに応えられない、ある
いは現在起きている社会の諸問題を解決することができないという状況がある。
つまり、NPOは企業や行政とは異なった論理に基づき、企業や行政では提供で
きない物やサービスを市民に提供することが求められているのである。
本書では本文とコラムのなかで二〇弱のNPOを紹介した。全国に二万強ある
NPOの中からどういうNPOをピックアップするかは当然のことながら「私の
好み」に関わってくる。事業規模の大きさとか、専従スタッフの数にはとらわれ
なかった。事業系NPOの中から、現状の社会システムを変えていこうという志
を持っているNPO、ユニークで面白い活動をしているNPO、新しいビジネス
モデルを示したNPOーーを「私の目」で選んだ。
さて、日本を閉塞感が覆っているのは多くの人が認めることだろう。この閉塞
感の正体は何なのだろうか? 経済の問題なのか、政治の問題なのか、いやもっ
と別の問題なのだろうか。私が思うに、それは「日本社会の次なる方向性」が見
えないことと関係が深いのではないか。
翻ってみるに、明治維新以降の日本は、産業革命を早期に達成した西洋諸国を
お手本にし、その文化と文明を吸収することに躍起になった。当初は国の実質的
な独立を目ざした富国強兵、第二次大戦以後は物質的豊かさを獲得するための経
済成長が国家の目標となった。国民も国と一緒にその目標に向かって突っ走った。
そして日本は世界有数の経済大国になった。しかしながら、目ざした場所に辿り
着いてみると「確かに物質的には豊かになったけど、私たちは本当に幸せになっ
たのか」という疑問が拭い去れない。迷える人々は必死で脱出口≠探し、田
舎暮らしや海外暮らしに憧れたり、昭和の時代を懐かしんだりしている。
総理府の「国民生活に関する世論調査」(二〇〇四年六月)によれば、五九・
〇%の人が「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆと
りのある生活をすることに重きをおきたい」と考えている。つまり、国民の六割
弱が「物の豊かさ」よりも「心の豊かさ」を求めているのだ。ここで問題なのは
「心の豊かさ」をどうやって手に入れたらいいのかが分からないことだ。
「心の豊かさ」を手に入れるためにはどうしたらいいのだろうか? 私は次の二
点が重要だと思う。一つは、経済至上主義を卒業すること。別の言い方をすれば、
経済以外の多様な価値観を心の中に育て、「物の豊かさ」への情熱を和らげるこ
とだ。もう一つは、近代化の過程でバラバラになった「人と人とのつながり」
「人と自然とのつながり」を取り戻していくことである。本書を最後まで読んで
もらえば分かるように、NPOはまさにこの二つの役割を果たそうとしている。
つまり、NPOは現在の閉塞感を打ち破る可能性を持っているのである。
NPOやボランティアの活動は自分を犠牲にして他人や社会のために奉仕しよ
うという活動ではない。貧しい時代は確かにそういう意味合いが強かった。しか
し、豊かな時代となった今、NPOやボランティアの活動は「面白いから」「楽
しいから」「自分が成長できるから」というような私的な関心を出発点としてお
り、それが矛盾なく公共的な関心につながるという構造を持っている。
「二一世紀は非営利組織の時代である」とピーター・F・ドラッカーは述べて
いる。それに倣って言えば「二一世紀はNPOの時代である」。企業や行政に次
ぐ第三のセクターであるNPOが一定の存在感を持つことで社会の仕組みを変え
ていく、新しい日本社会を創っていく。そんな社会実験が始まっている。少しず
つではあるが、本書で紹介するような成功モデルが出始めている。この社会実験
に一人でも多くの人が参加して欲しいと思う。出発点は「社会のため」ではなく
「自分のため」ーー面白いから、楽しいから、自分が成長できるからである。
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「心の豊かさ」を手に入れるためにはどうしたらいいのだろうか?
色々な答えがあると思います。
あなたはどう思いますか?
2005/9/14
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